FDX68の導入方法。FM77AV用にRaspberryPiのセットアップから始める。(前編)
フロッピーの読み出し、書き戻しには、これまでDittを使ってきましたが、実行用のPCの液晶がお亡くなりになり、とうとう使用出来なくなってしまいました。
直せば使えるのでしょうが、私にはとても無理です。Windows98系PCの保守も厳しくなってきたことから、フロッピーディスクに関する部分は、FDX68を軸とした環境に移行することにしました。
FDX68は、フロッピーディスクドライブの環境改善を目的に、GIMONS氏により開発されたハードウェアとソフトウェアの総称です。
【GIMONS氏FDX68のページリンク】フロッピーディスクドライブエミュレータ & コントローラFDX68
専用シールドを介してFM77AVシリーズと接続することでFDDエミュレータとして機能する他、フロッピディスクコントローラーとしてFDDと接続することで、ディスクイメージの作成や実ディスクへの書き戻しなども行うことができます。
これまで使用してきたDittでは不可能だったフロッピーディスクの生データの保存ができる点なども非常にありがたいです。
プログラム自体はRaspberryPi上で実行されますので、RaspberryPiでの実行環境を整えた上で、FM77AVやFDDと接続して運用することになります。
FDX68については、実際は少し前から活用させて頂いておりましたが、今回、改めて環境構築するに当たって、色々と難儀しながら作業を進めてきたこともあり、備忘録として導入方法の記録を残しておくこととしました。
記事が長くなってしまうため、全体を2つに分け、今回はRaspberryPiのセットアップまでとし、次回にFDX68との接続と実行方法をまとめたいと思います。
▢RaspberryPiとは
▢RaspberryPiのセットアップの流れ
▢準備したもの
・購入部材
・家にあったもの
▢RaspberryPi OSのインストール
・Raspberry Pi Imagerのインストール
・RaspberryPi OSのインストール
▢RaspberryPiの初期設定
・RaspberryPiの起動
・初期設定
・ローカルIPの固定
・SSHの設定
・Sambaのインストール
▢Windowsの通信設定
・ネットワーク接続
・SSHクライアントでターミナル接続
・『Tera Term』の日本語設定
・Sambaでファイルの移動
RaspberryPiとは
RaspberryPiはシングルボードコンピューターで、基板一枚で基本的なパソコンの機能を備えています。
補助記憶装置がハードディスクやSSDではなくmicroSDカードとなっていますが、ディスプレイやキーボード、マウス等を接続して一般のパソコンのように使用することもできます。
そのまま使うのであれば、RaspberryPiにディスプレイやキーボード、マウス等を接続した状態で、必要な入出力を行うことになりますが、運用上、煩雑になることから、最終的には、RaspberryPi 上でのアプリケーションの実行やWindowsPCとのファイルの受け渡しを、WindowsPCから遠隔操作等で行えるように環境構築を進めます。
RaspberryPiのセットアップの流れ
大まかには、次の3つの作業となります。
・RaspberryPi OSのインストール
・RaspberryPiの初期設定
・Windowsの通信設定
以降で、RaspberryPiへOSをインストールし、アプリケーションが実行できる状態にするまでの設定方法などについての説明をします。
準備にはWindows8.1を使用しました。また、インターネット接続はWi-Fiです。他の環境では画面や手順が異なると思いますのでご注意ください。
準備したもの
RaspberryPiには複数のモデルが存在しますが、FDX68の運用には『Rapberry Pi 3 Model B』が推奨されています。
本体のみの購入も可能ですが、必要な機材を同梱したキットが販売されていますので、こちらを購入すると便利かと思います。私はセット品を購入しました。
初期設定が終わった後は、普段使いのWindowsPCからの遠隔操作を行いますので、キーボード、マウス及びディスプレイは自宅にあるもので済ませるのが良いかと思います。
購入部材
【Raspberry Pi3 コンプリートスターターキット (Basic 16G)】8,640 円 (2018.6.30時点)
ボード本体(Rapberry Pi 3 Model B)
3ple Decker Piケースセット
Micro SDカード(Class10 16GB)
AC電源アダプター(5V 3.0A、スイッチ付電源ケーブル1.1m)
家にあったもの
ディスプレイ(HDMI入力があればOK)
ディスプレイケーブル
キーボード、マウス(USBなら無線でもOK)
RaspberryPi OSのインストール
RaspberryPiにOSをインストールし、起動するまでの手順について説明します。
Raspberry Pi Imagerのインストール
RaspberryPiにOSをインストールする事前準備として『Raspberry Pi Imager』をインストールします。
『Raspberry Pi Imager』は、ラズベリーパイ財団が公開している公式のOSインストールツールです。
公式サイトから『Raspberry Pi Imager』をダウンロードします。
ダウンロードが終わったら、”imager_1.5.exe”を実行。
"このアプリがデバイスに変更を加えることを許可しますか?”という旨の警告画面が出る場合がありますが、”はい“を選択し続行。
セットアップ画面が表示されるので、”Install”をクリック。
インストールが完了したら、”Finish”をクリックし、『Raspberry Pi Imager』を起動します。
これで『Raspberry Pi Imager』のインストールは終了です。
RaspberryPi OSのインストール
『RaspberryPi OS』をインストールします。保存先はSDカードになります。
『RaspberryPi OS』は、ラズベリーパイ財団がRaspberryPI用に公開しているオペレーティングシステムで、LinuxディストリビュージョンのDebian GNU/Linuxに基づいて構築されています。
保存先のSDカードの準備をします。WindowsPCへMicroSDカードを接続します。
『Raspberry Pi Imager』の起動画面で、”CHOOSE OS”をクリック。
Raspberry Pi OSは3つのパッケージが用意されています。
最初に表示される標準的なもののほか、“OTHER”から『Raspberry Pi OS Lite(32-bit)』や『Raspberry Pi OS Full(32-bit)』も選択できます。
各パッケージの大まかな内容は次のとおりです。
・『Raspberry Pi OS (32-bit)』 :デスクトップ環境(GUI)で必要なソフトウェアが入った軽量版
・『Raspberry Pi OS Lite(32-bit)』 :コマンド入力環境(CUI) のみの最軽量版
・『Raspberry Pi OS Full(32-bit)』 :デスクトップ環境(GUI)で、推奨ソフトウェアが全て入ったフルインストール版
FDX68の運用が目的であれば、『Raspberry Pi OS Lite(32-bit)』でも問題ありませんが、今回はGUI環境で設定が容易な『Raspberry Pi OS (32-bit)』を使用します。
画面から『Raspberry Pi OS (32-bit)』を選択。
次に書き込み先のSDカードを選択します。”CHOOSE SD CARD”をクリック。
書き込み先のSDカードを選択。
OSとSDカードの選択が済んだら、書き込みを行います。”WRITE”をクリック。
SDカードのデータ消去を伴いますので、警告が出ます。”YES”をクリック。
『Raspberry Pi OS (32-bit)』の書き込みが始まります。環境にもよりますが20分位かかりますので、コーヒーでも飲みながらのんびりお待ち下さい。
書き込みが完了。”CONTINUE”をクリックし、『Raspberry Pi Imager』を終了します。
書込みが終わったSDカードは取り出しておきます。
これでRaspberryPi OSのインストールは終了です。
RaspberryPiの初期設定
RaspberryPiの初期設定を行い、WindowsPCとの通信環境を整えるまでの手順について説明します。
RaspberryPiの起動
RapberryPiへ各ケーブルを接続し、起動させます。
挿入口へMicroSDカードを挿入。
RaspberryPi本体には電源ボタンがありません。電源ケーブルを差し込むと起動してしまいますので、先にディスプレイ、マウス、キーボードのケーブルを接続し、電源ケーブルは最後に差し込みます。
手順通りに進んでいれば、OSが起動し、ディスプレイに初期起動画面が表示されます。
起動画面が表示されない場合は、これまでの手順をもう一度確認してみて下さい。それでもよくわからない場合は、潔く諦めて『RaspberryPi OSのインストール』から、やり直します。初めての事なので失敗はつきものです。
初期設定
OSが起動すると、すぐに初期設定を促す窓が表示されます。表示に従って初期設定を進めていきます。
初期設定を始めます。”Next”をクリック。
地域の設定。
国、言語、タイムゾーンを選択し、”Next”をクリック。
パスワードの変更。
初期設定のユーザー名は”pi”、パスワードは”raspberry”に設定されています。新しいパスワードを入力し、”Next”をクリック。
画面の設定。
画面がディスプレイ全体に表示がされている場合は、そのまま”Next”をクリック。
画面周辺に黒枠が残ってしまっている場合は、チェックボックスにチェックを入れてから”Next”をクリック。
Wi-Fiネットワーク(SSID(アクセスポイント))の選択。
接続先のWi-Fiネットワークを選択し、”Next”をクリック。
Wi-Fiネットワーク(SSID(アクセスポイント))のパスワード(プレシェアードキー(暗号キー))入力。
パスワードを入力し、”Next”をクリック。ネットワークへの接続が確立します。
OSのアップデート。
OSをアップデートします。”Next”をクリック。通信環境にもよりますが30分位かかります。
アップデートが完了したら、”OK”をクリック。
“Restart”をクリックし、再起動します。
ここまでで、日付や時刻、日本語環境も設定され、通常の使用環境が整います。
これで初回立ち上げに伴う初期設定は終了です。
ローカルIPの固定
起動する度にIPアドレスが変わってしまうと色々面倒なので、IPアドレスを固定します。
ターミナルを起動する。
ターミナルとは、Windowsで言うところのコマンドプロンプトです。タスクバーにあるアイコンをクリックするとターミナルが起動します。
ターミナル起動画面。各種コマンドの入力、実行ができます。
現在接続している”Router”の”IPアドレス”を確認します。
ターミナルから"arp -a"を入力、実行。
確認した”Router” の”IPアドレス”はメモしておきます。
次に、”RaspberryPi”の”IPアドレス”を確認します。
タスクバーのWi-Fiアイコンにポインタを合わせると、”RaspberryPi”の”IPアドレス(有線LAN(eth0)、無線LAN(wlan0))”が表示されるので、メモしておきます。
そのまま、タスクバーのWi-Fiアイコンを右クリック、”Wireless & Wired Network Settings”をクリック。
ネットワークの設定を入力。
Configure :interface、wlan0を選択
IPv4 Address :固定したいIPアドレスを入力。現在のIPアドレス以外でもOK
Router :先ほど調べたRouterのIPアドレスを入力
DNS Servers :RouterのIPアドレスと同じでOK
設定ファイルに反映されているか確認します。
ターミナルから"ifconfig"を入力、実行。
入力した”IPアドレス”が割り当てられていればOK。
これでローカルIPの固定は終了です。
SSHの設定
WindowsPCから操作できるようにするため、SSHサーバーを有効化します。
タスクバーのメニューボタンをクリック。”設定”から”Raspberry Piの設定”に進みクリック。
Raspberry Piの設定が開いたら、”インターフェイス”のタブを選択し、SSH”有効”をチェック、”OK”をクリック。
初期設定のログインパスワード(”raspberry”)のままSSHを有効にすると、セキュリティ上の問題がある旨の警告がされます。この警告は、ログインパスワードを変更するまで、起動の度に行われます。
これでSSHの設定は終了です。
Sambaのインストール
WindowsPCとファイルの受け渡しができるようするため、ファイルサーバ機能を追加します。
ターミナルから"sudo apt-get install samba"を入力、『Samba』をインストールします。
ディスク容量の確認がされます。”y”を入力。
“smb.conf”の変更確認がされます。”はい”を選択。
『Samba』のインストールが完了したらの、設定を行います。
ターミナルから"sudo nano /etc/samba/smb.conf"を入力し、設定ファイルを開く。
設定ファイルが開いたら、以下を追加。入力が終わったら[ ctrl + O ]で保存、[ ctrl + X ]で編集を終了。
#======================= Share Definitions =======================
(※一番下へ5行追加、pathはルートフォルダーを指定。)
[pi]
path = /home/pi/
read only = no
guest ok = yes
force user = pi
ここまで終わったら、ターミナルから"reboot"を入力して、再起動。
ここまでで”RaspberryPi OSのインストール”と”RaspberryPiの初期設定”が終わりました。
これでRaspberryPiのセットアップは終了です。
ここまでの作業で問題がなければ、以後は、WindowsPCからの操作となりますので、キーボード、マウス及びディスプレイは外してしまって構いません。お疲れさまでした。
Windowsの通信設定
Windowsの設定を行い、RaspberryPiとの通信環境を整えるまでの手順について説明します。
ネットワーク接続
RaspberryPiをリモート接続するためには、WindowsPCも同じWi-Fiネットワークに接続している必要があります。
RaspberryPiと同じWi-Fiネットワークへの接続設定を行います。
タスクバーのアイコンをクリック。
RaspberryPiと同じWi-Fiネットワークを選択。
“パスワード(プレシェアードキー(暗号キー))”を入力。
RaspberryPiと同じWi-Fiネットワークへの接続が確立します。
これでネットワークへの接続作業は終了です。
SSHクライアントでターミナル接続
WindowsPCからRaspberryPiのターミナルへのリモートターミナル操作(遠隔入力) を行うための準備をします。
SSHクライアントには『Tera Term』を使用します。
公式サイトから『Tera Term』をダウンロード。
ダウンロードが終わったらファイルを展開。
フォルダ内の”ttermpro.exe”を実行。
『Tera Term』が立ち上がると新しい接続の入力画面が表示されます。
“Host(RaspberryPiのIPアドレス)”を入力し、”OK”をクリック。
ホストの入力後、セキュリティ警告画面が出る場合がありますが、気にせず”続行(C)”をクリック。
RaspberryPiへのログインが求めらるので”ユーザー名”、”パスフレーズ”を入力し、”OK”をクリック。
ユーザー名:pi
パスフレーズ:raspberry(デフォルトから変更している場合は変更したもの)
接続が確立すれば、ターミナル画面が表示されます。
接続が確立した状態でWindowsPC上のターミナル画面からコマンドを入力すると、RaspberryPi側で受け付けられ、コマンドが実行されます。
これで、SSHクライアントでターミナル接続するための作業は終了です。
Tera Termの日本語設定
初期状態では『Tera Term』のメニューが英語になっているので、日本語表示にします。
“Setup”から”General”を選択。
“LanguageUI:”で”Japanese.lng”を選択し、”OK”をクリック。
メニューが日本語になります。
“設定(S)”から”設定の保存(S)”を選択。
設定ファイルの保存画面が出たら保存をクリックし、設定を保存します。
これで『Tera Term』の日本語設定は終了です。
Sambaでファイルの移動
WindowsPC上のエクスプローラーで、RaspberryPiとのファイルの受け渡しを行います。
RaspberryPiのフォルダを開く。
RaspberryPiと同じWi-Fiネットワークに接続している状態で、エクスプローラーのアドレス欄に”¥¥192.***.***.***”を入力。(*は、RaspberryPiのIPアドレス)
エクスプローラーにPaspberryPiのフォルダが表示されます。
以後は必要に応じてWindowsPC内でファイル操作する感覚で、RaspberryPiとの間で必要なファイルの移動、複製、削除を行えます。
これで、『Samba』でファイルの移動を行うための作業は終了です。
以上でWindowsの通信設定は終わりです。
ここまでの作業で、RaspberryPi 上でのアプリケーションの実行やWindowsPCとのファイルの受け渡しは、WindowsPCから遠隔操作等で行えるようになりました。今回の環境構築作業は、以上ですべて終了です。お疲れさまでした。
以後は、RaspberryPiを起動するたびに”RaspberryPiと同じWi-Fiiネットワークへの接続”を行い、RaspberryPiへコマンドを送るときは、“SSHクライアントでターミナル接続”のとおり、RaspberryPi とファイルの受け渡しを行うときは、“Sambaでファイルの移動”のとおり作業を行うこととなります。
次回は、FDX68との接続と実行方法をまとめます。
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